しまなみ海道ウルトラ遠足(とおあし) 2012

1.スタートまで

いよいよ5回目の「しまなみウルトラ遠足(とおあし)」です。 これま での成績は2回完走2回リタイア。 なんとか今回で勝ち越しにした いものです。 ちなみに昨年は70km伯方島エイドでのリタイアでし た。 

前日に会社を早引けしてスタート地点の福山へ向かいます。 
地理的には、家から1時間足らずでスタート地点へ着いてしまうと いう好条件の大会です。交通費たったの700円です。こりゃあ、参 加しないと勿体ない(笑)。 

受付会場で、私の初フルマラソン以来のおつき合いであるTさんと 再会しました。 
NAHAマラソンでもお会いしたUさん(昨年の宮古島ウルトラでもご 一緒)やAPさん(昨年のしまなみでも声をかけてもらっています)も 一緒です。 
夕方5時すぎから、近くの居酒屋で7人での前夜食事会。 
マラソン談義に花が咲き、翌日が100kmウルトラだというのに、さ すがに全国から集まった強者揃い、みんな飲むわ飲むわ。 おま けに、肝心の大会のことは飛ばして終わった後の飲み会の相談を している(笑)。 

前夜食事会は7時過ぎに終了して、みんなでぞろぞろと近くのコン ビニへ。 
明日の朝食を調達しに行ったのですが、お目当てのおにぎりは売 り切れ。別のコンビニへ回ってもやはり売り切れでした。明日に備 えてみんな考えることは一緒です。しかたなくサンドイッチとコーヒ ーを買いました。 

実は、泊まるビジネス・ホテルは朝食付きだったのですが、チェッ ク・インのときに、朝4時のチェック・アウトなのですが朝食は食べ られますか?と訊ねると、申し訳ありません、そのお時間には未だ 用意が出来ておりません、と丁重に断られていたのです。そりゃそ うだよな。 

ホテルへ戻り、ゼッケンを付け、預ける荷物(この大会はワン・ウェ イですから、もうスタート地点の福山へは戻ってきません。ゴール の今治まで荷物を運んでもらうのです。)の準備をして、10時前に 就寝。
明日は暑くならなければ好いんだがなあ。願いは、もうそれだけで す。 

2.スタート 福山〜尾道

5時間ほど寝ることが出来ました。4時にホテルを出ます。 
スタート地点はうっすらと明るくなり始めた福山城です。 第12回大 会となる今年の参加者は約1200人。何かの都合で2年間は中止さ れていたのですが、再開の要望が強く、昨年から復活していま す。半年前から参加申し込みがはじまりますが、すぐに定員一杯 になってしまって参加を断られたりします。 
Tさんをはじめとする昨夜の前夜食事会のメンバーとお互いの健 闘を誓います。 

5時に、ほとんど最後尾からゆっくりとスタートしました。 
いつものペースでと、まずは福山から尾道までの約20kmを国道に 沿って走ります。スタートしてしばらくはTさんたちと4人で一緒だっ たのですが、走力の差はいかんともしがたく、次第に差が広がっ てしまいました。 

それでも今年は最高気温が24度、曇り空で陽もささず、風もおだ やかと、絶好のウルトラ日和でした。最後までそれほど暑くならな かったのはなによりでした。 
ただ、とても蒸し暑く、ひっきりなしに汗が噴き出てきます。妻に日 焼け止めクリームを渡されて塗っていたのですが、これだけ汗が 出てしょっちゅう顔を拭いていたのでは、すぐに効果は無くなって いました。 

5km通過が48分。ありゃ、いくら最後尾からのスタートとは言え、こ れは予想以上にかなり遅いペースです。 
しかし今年は、前半に貯金を作っておこうとか、ペース維持をどう しようとか、そういう雑念(笑)はふりすてることにしていました。今 年の信念は、どんなにゆっくりでも走っていれば歩くより速い! (そりゃそうだ)。で、とにかく後半にも走りつづけられるように体力 を温存するのを第一とする、というものです。 
だから、前半はとにかくゆっくりでいいのです(笑)。はたして、この 作戦は上手くいくのでしょうか? 

いつも、お年寄りが朝のラジオ体操をしている広場にさしかかりま した。これまでの大会では体操をしている時間に通過するのです が、今年はもうラジオ体操の時間も過ぎてしまっていて、誰もいま せんでした。こんなに遅いペースで大丈夫かな? 

3.尾道〜向島

尾道の街に入り、前方の高いところにしまなみ海道の始めの橋、 尾道大橋が見えてきました。ここで20km。時間は2時間40分でし た。まあ、こんなものかな。 
急な坂道と階段を上がって尾道大橋へ。いよいよ瀬戸内の海を渡 ってはじめの島、向島へ入りました。 
このあたりで1回目のトイレ休憩。この尿意も、自分の身体が脱水 になっていないかどうかの目安にはなります。 

さて今回はウエスト・ポーチを持って走るのを止めました。代わり にジョギング・パンツのポケットに携行荷物を入れています。しば らく前に購入にしたこのNI○Iのパンツにはなんとポケットが5つも 付いているのです。 
で、財布(途中でリタイアしたときのバス代!)、タオル、ティッシ ュ、それにアスリート・ソルト、飴などを分散させていました。これま ではウエスト・ポーチの揺れが気になっていましたから、今回は好 い感じでした。 

持ち物といえば、他の方が鎮痛剤も持って走っているというのを 聞いたとき、ああ、そうか、と思いました。鎮痛剤ってそういう使い 方もあったんだ! 
病気の時以外にも使い道があるというのは、まったく目からウロコ でした。次からは、足が痛くなったらロキソニンでも飲んでみようか な。 

4.因島〜生口島

2つめの橋、因島大橋へは長い長い階段を上がります。見上げる とうんざりするような階段です。 
実は、私の会社の社員食堂は10階にあるのですが、この日のた めにと、毎日歩いて上がっていました。さあ、その日がやってきた ぞと気持ちを奮い立たせます。しかし、やはりきついよな。 
やっとたどりついた因島大橋を渡って、因島へ。 
やがて和太鼓の音が聞こえはじめて、35km地点の因島アメニティ 交流館エイドに着きました。気持ちの好い広場に大きなエイドが作 られています。 
ここの名物はオレンジからその場で絞ってくれる生ジュースです。 しかもおかわりも自由。喉が渇いているところにこの美味しい生ジ ュースですから、誰だってお代わりをするでしょう。すると2400杯あ まり。1杯にオレンジを2個使っていましたから、用意するオレンジ はなんと5000個になります。もう感謝あるのみです。 
ここで2回目のトイレ休憩もすませました。 

因島はかなり大きな島で、しかも島を横断するようなコースです。 ですからここでは丘越えのような長い坂があります。これはこたえ ます。私ぐらいのペースの人はほとんどが歩いて坂を上っていま す。 
体力温存のため、と自分に都合のいい口実を設けて、当然のこと ながら私も歩きます(笑)。 
ところで、この大会のエイドは充実していますから、水分や食料な どはまったく心配がありません。エイドにもよりますが、おにぎり、 そうめん、バナナ、オレンジ、レモン、スイカ、チョコレート、お饅 頭、あんぱん、飴、ゼリー、梅干し、塩、それにスポーツ・ドリンク、 お茶などが置いてあります。後半に登場してきたレモン水も美味し かったですね。 今年は汗の出方が半端ではなかったので、梅干し も10kmごとぐらいに食べました。 
これはかなり効果的だったのではないかなあ。 

生口橋の手前の40kmエイドで5時間20分。まあ、フルを5時間半前 後で通過できれば大丈夫だろうという目論見がありましたから、誤 差範囲内の経過です。 
今のところは「焦らない!」という作戦は上手くいっています。よし よし。 

さて、3番目の橋、生口橋を渡って生口島へ。 
以前はこのあたりで一人のおばあさんが道ばたで夏みかんをむ いてくれていました。 
ほら、食べんさいと、皿に載せながら声をかけてくれたのですが、 去年からは見かけなくなりました。どうされたのだろうと、ちょっと 気になります。 

生口島ではほぼ海岸に沿って走ります。ですから平坦なのです が、すでにフル・マラソンの距離を過ぎてきていますから、疲労も かなりのものになってきます。はやく中間エイドにたどりつきたい、 早くゆっくりと休憩をしたい、と、そればかりを考えるようになりま す。 
中間エイドは道から左へ入っていったところにあります。前の方を 走っている人の姿が早く左へ曲がって道から消えてくれないかな と、必死に前方を見ながら走ります。 

5.中間点〜

で、やっと50kmエイドの海洋センターへ到着。 
先に到着していたTさん、Uさん、APさんと再会しました。預けてあ った荷物を受け取り、靴下を履き替え、汗拭きタオルを新しいもの にしました。
皆で雑談をしたりして、ここでは20分ほどの休憩でした。この休憩 時間をもっと短くして走る時間に余裕を持たせた方がいいのか、 それとも、休憩は充分にとって英気を養った方が結果的には有利 なのか、いつも迷います。どうなんでしょ? 

さて、ウルトラを再開しなければなりません。時間は7時間ちょっと 前です。 
休憩を終えての生口島サンセット・ビーチの55kmエイドまでは毎 回かなり辛いところです。ゆっくりと身体を休めてしまったあとにも う一度肉体を辛い状況に追い込まなくてはなりません。 

サンセット・ビーチ・エイド自体は、板張りの遊歩道をしばらく走っ たところにある気持ちのよいところです。穏やかな瀬戸内の波が 打ち寄せる砂浜に面しています。 
昨年はこのあたりまで来ると、エイドごとに頭から水をかぶってい たのですが、今年はそれほどの暑さではありません。しかし、あい かわらず汗のかきかたは半端ではありませんから、スポーツ・ドリ ンクを飲み、梅干しを食べ、オレンジをいくつも食べます。 
そういえば、今年はスイカのあったエイドは1カ所だけでした。私は スイカが大好きなのです。残念、もっとスイカが食べたかった! 

6.多田羅大橋〜大三島〜伯方島

60kmは4つめの橋、1500mの長さの多田羅大橋の真ん中あたりに なります。
時間はおよそ8時間15分。これで残りの40kmに7時間半以上が残 っています。前半にのんびりした割には好いペースできています。 余りペースが落ち込まなかったせいでしょう。

その多々羅大橋の上ではかなりの数の自転車が、頑張って下さ いと声をかけながら、走っている私たちを追い越していきます。自 転車に乗っているその人たちの服装は、ジョギング・パンツにラ ン・シューズと、どうみてもランナーです。
おそらく中間地点を過ぎてリタイアした人がレンタル自転車で今治 へ向かっているのでしょう(しまなみ海道ではいたるところにレンタ ル自転車のステーションがあり、乗り捨てが出来るのです)。どこ のエイドだったか、広場の向かいにレンタル自転車のステーション がありました。あれは誘惑になるよなあ(苦笑)。

多々良大橋を渡りきって大三島へ入ります。
ここのループの坂を下ってくる途中に、なぜか海上自衛隊の古い ヘリコプターが置いてあります。このヘリコプターがバックに入る 位置で毎年カメラマンが写真を撮ってくれます。
で、今年もここで大きく手をあげて写真に写してもらいました。

わが家では毎年1回は家族が集まって旅行をするのですが(われ われ夫婦に3人の子供たち、その相方に孫たちと、総勢11人で す)、去年はこの大三島の温泉に来ました。
夕方の散歩で、このヘリコプターの置いてある場所は孫たちが大 喜びをしたところです。多々羅大橋を見下ろす展望台では、あの 橋を走って渡るんだよと孫たちに言って、すごい!と感心もされた ことです(笑)。

さて、大三島の海岸の道の駅が61kmエイドになっています。 
ここで、あきりんさん?と声をかけられました。見覚えのあるお顔 だが、はて、誰だった? Kの旦那です、と言われて、ああ、そう だ、いやあ、こりゃあ懐かしいなあ。
Kさんは某掲示板の長寿トピのトピ主さんで、ホノルル・マラソンに も毎年来ています。旦那さん(トピ上のハンドル・ネームが”Kの danna”というのです(笑)。イケメンの優しい旦那さんです)とは、 随分前になりますが、「ラン&ウォーク イン 乗鞍60km」や「萩往 還 70kmコース」でご一緒していました。 
Kさんは?と尋ねると、今日は調子がよくて前を走っています、と のこと。へえ〜、スーパー・ランナーの旦那さんより前を走っている とは、そりゃすごいね。
(あとで知ったところによると、旦那さんは発熱しており走るかどう かも迷ったぐらいの体調不良だったようでした)。 

この大三島は5kmぐらいしか走りません。しかし去年はこのあたり ですでにふらふらでした。50kmでダウン寸前、60kmをなんとか過 ぎて、70kmの伯方島でもうリタイアしようと考えながら。とぼとぼ歩 いていたあたりです。 
自販機の前で座りこんでジュースを飲んでいたところに、自転車で 応援に来ていたHさんたちと会ったのもこの大三島でした。今年は それに比べればまだまだ元気です。 
でもまあ、去年とは違うぞということの記念にと(まったく理屈にな っていませんが)、同じ自販機で缶ジュースを買って飲みました。 
すると、Kさんの旦那さんが、頑張りましょう、と声をかけて通りす ぎていきました。 
よっしゃ、こちらも行くかな。 

5つめの大三島橋を渡って伯方島へ入るとすぐに66kmエイドがあ ります。そこでKさんと旦那さんが、あきりんさ〜ん、と待っていてく れました。 
お久しぶり。変わらないね。お互い様で。 
とても懐かしい再会でした。 

ここでは一人一人に氷水で冷やした濡れタオルを渡してくれます。 顔を拭いて、首筋を冷やします。う〜、これは気持ちいいなあ。

7.伯方島〜大島

やってきました、70km過ぎの伯方島エイドです。ここのエイドの歓 迎ぶりはいつもすごいものです。毎年、誘導の高校生がハイ・タッ チをしてくれます。
そして到着したランナーの名前をマイクで一人一人呼んでくれま す。岡山から参加のあきりんさん、ようこそ!

このあたりまで抜きつ抜かれつだったAPさんとまたもや再会。並 んでマッサージをうけました。
マッサージをしてくれた年配の人はかなりのベテランらしく、私の 前の人にも、脚の筋肉を揉みほぐしながら、どこそこが一番疲れ ているね、などとアドバイスをしていました。ところが、私の番にな り、脚をあちらこちら触りながらのアドバイスは、う〜ん、これはど こが疲れているとかじゃなくて、もう全部が熱を持っているね、だい ぶ辛いでしょ、との御占託。
いやあ、その通りです。
これからは休憩時間が大事になりますよ、とのアドバイスでした。
そうか、私の肉体は他の方々に比べたらまだまだ軟弱なんだな、 その軟弱な身体で頑張っているんだな、と、自分自身が愛おしくな ってきました(苦笑)。

このエイドでは冷たいそうめんも2杯食べました。
ここで確か3回目のトイレ休憩。前半に比べて尿意がなくなってき ているということは、これだけ水分をとっていても、まだ脱水気 味? う〜ん、水分と塩分補給だな。麦茶をもう1杯くださ〜い!

さあ、今年はここからも頑張って行くか。
すぐに伯方大島大橋を渡り、最後の島、大島に渡ります。
70kmエイドでもかなりゆっくりしましたが、75km地点通過は11時間 前でした。残り25kmに5時間あまりあります。こりゃ無理しなくても 行けてしまうんじゃないの(嬉)。

ところが、この75kmからは長い長い上り坂で大島を横断して反対 側へまわらなければなりません。ここは単調な上り坂が続き、精 神的にも辛いところです。なんとか走りたいのですが、どうしても 続きません。
このあたりになると、前後の人たちは同じような早さの人ばかりで す。抜いたり抜かれたりをくり返しながら、みな黙黙という感じで す。

さて、この大会での仮装ランナーはそれほど多くはありません。や っぱり100kmとなると、フル・マラソンどころではありませんから、無 理もありません。
それでも強者はいるわけで、ちょんまげ姿の人は2名。
1名は有名なウルトラ・ランナーで、「お前も悪よのう」と大書された 悪代官の羽織を着ています。余裕しゃくしゃくで、若い女性をつか まえては終始話しながら走っています。すごいものです。もう一人 の方は腰に刀を差して走っていました。
被り物の人も2名発見。
一人はこれも有名なサンタクロースの着ぐるみの方で、大きな袋 も背負っています。
沿道で子どもを見かけると、袋の中からお菓子を配ります。もう一 人は頭からすっぽりの着ぐるみのキティちゃん。これは滅茶苦茶 暑そう。しかも顔は真っ白なペイントで、ちゃんと猫の髭も描いてい ます。
しかし、これらの人を出し抜いてすごかったのは、坊ちゃんランナ ー(夏目漱石ですね)。
絣の着物に袴、それになんと素足に下駄です。
腰にはちゃんと替えの下駄をぶら下げています。鼻緒が切れる可 能性があるのでしょう。しかし、100kmを下駄で走ったら足が血だ らけになるんじゃないの?

自慢ではありませんが、私は全ての仮装ランナーに抜かれました (苦笑)。ま、仮装をする方は、みんなものすごい走力の持ち主で すから無理もありませんが。

8.大島〜 

80km地点の吉海町バラ公園エイドに着きました。
ここまで来ると、身体もまだ動いている今年は気持ち的にホッとし ました。残り20kmに時間も4時間以上が残っています。これで今年 はなんとかなる目途がついたなあ。

傍らの売店でデコポン・シャーベット(デコポンというのはオレンジ に似た柑橘類です。四国の名物かな?)を買いました。
縁石に座って食べていると、隣に来た妙齢の女性が、それ、デコ ポン・アイスですか?と声をかけてきました。
いや、これはシャーベットです。これの方があっさりしていて美味し いですよ。
私もそれにしようかと迷ったのですが、誘惑に負けて結局こちらに しました。
見ると、手にしているのはなんと缶ビールではありませんか。
うへえ、すごいですね。
でも聞くと、ここから先は未知の距離だとのこと。昨年はずっと手 前の橋の上で日没となってしまい、路線バスもなくなり、仕方なく 今治までタクシーで移動して9000円もかかったとのこと。
大丈夫、今年はこの時間ならゆっくりと間に合いますよ。
はい、来島大橋を渡るのがが楽しみです。

さて、ここから来島大橋までは海岸沿いの6kmです。
岬を回るとはるか遠くに来島大橋が見えました。しかし、次の岬を 回ると隠れます。次の岬を回ったらまた橋が見えてくれるかな、と 期待をしながらよろよろとすすみます。
そのうちに、一つの岬を回ったとたんにいきなり4km以上もある来 島大橋の全貌ががーんと視界に広がりました。それはそれは見 事な眺めです。
おお、今年もついにここまで来たぜいっ!

来島大橋の取り付けの道路の入り口まで来ました。ところが当て にしていた86kmエイドがありません。あれ、たしかこのループにな っている道路の入り口にあったはずなのだが・・・。知らずに通りす ぎてしまったのかな? そんな馬鹿な・・・?
ループになった坂道をとぼとぼと歩いて上ると、それこそ橋に出る 直前の休憩広場にエイドがありました。やれやれ助かった。

9.来島大橋〜四国

ついに来島大橋の上に出ました。
この橋を走って渡るためにこの大会にやってきた、と言っても過言 ではありません。
逆に、リタイアをしたときの来島大橋ほど忸怩たる気持ちになる場 所もありません。今治に向かう路線バスの窓から、この来島大橋 を走っているランナーの姿を見るとき、言葉にはならない悔しさが こみあげてきます。
それを思えば、もう足は重いし、身体はよれよれですが、この橋の うえを自分の足で動き続けていることがとても素晴らしいことに思 えます。

今年は厚い雲におおわれていて夕陽を見ることはまったくできま せんでした。心地よい夕方の海風が吹き抜けていきます。

しばらく前から自転車に乗った女性が、ゆっくりと走る男性の横に ついていました。服装からすると、ペアで参加していたのだけれど も女性がリタイアして途中からはレンタル自転車に乗り、男性をサ ポートしているという感じでした。
男性の方は私と同じぐらいのペースで抜いたり抜かれたりしてい たのですが、来島大橋の上で見かけたときは、ついに男性もレン タル自転車に乗っていました。そうか、残念でしたね。

そして橋を渡りきって、ついに四国の地に着きました。
ループになった坂をぐるぐると回りながら降りて、残り8kmのエイド に到着しました。
残り時間は2時間近くあります。ん、なんとかなったなあ。


10.四国路〜ゴールへ

陽が落ちると、急速に暗くなっていきます。今治の街へ向かっての 郊外を走ります。
しかし、時間内完走が確実となってからは次第に歩きが多くなって きました。こういったところが私の甘いところです。1分でも早く!と いった根性がまったくありません(苦笑)。

95kmの表示が見えて、まもなく96km地点の最終エイドです。
エイドのお世話になるのもこれで終わりか、と思うと感慨深くなっ てきます。ここではレモン水だけいただいたのだったかな。

今治の市街地へ入ってきて残り2kmの表示。コースを間違えない ように取り付けられた点滅の赤色灯が、人通りの少ないアーケー ド街で光っています。
最後の難関は今治城です。なんとか門からお城特有の石段を登 り、天守閣下の広場を横切り、反対側の門から抜けます。疲れた 足には石段がこたえました。

お城を抜けると残り1kmです。ついにゴールの賑やかな灯りが前 方に見えてきました。

ゴールでは一人一人の写真を撮ってくれます。前の二人連れが 並んでゴールするのを待ってから、両手を挙げてテープを切りまし た。
制限時間までは30分ほどが残っていました。

11.ゴールをして

いやあ、疲れました。とにかくビールです。美味い! もう早く風呂 に入りたい!ということで、すぐにバスに乗ってホテルへ向かいま した。
ぬるめの湯でゆっくりと身体をほぐし、それからまたもやビールを 飲みながらコース上で写してもらった写真を眺めます。至福の自 己満足のひとときです。
太股が痛く、足底が痛く(私の歩幅で計算すると、100kmを踏破す るのに12万歩以上を要しています)、二の腕も疲れたように痛み ます(手を振り続けるので、ここもかなり痛みが残っていました)。
しかし、この身体の節々の痛みを感じると、よくやった!とつくづく 自分を誉めたくなるのです(苦笑)。 

12.終わりに

翌朝、ホテルの朝食時に一緒になった方と歓談。
その方は頬や腕に絆創膏を貼っています。なんでも20km地点で 転倒して顔面を打撲、痛くてエイドでそのまま30分ほど寝ていたそ うです。 リタイアしようかなと思ったものの行けるところまでと走っ て、なんと14時間足らずと私より1時間半も早くゴールされていまし た。お歳を聞いてまたびっくり、なんと74歳でした。お元気! 
うむ、やれば出来る・・・のかな? 

今年の完走率は78%と、例年に比して高いものでした。やはりあ まり暑くならなかったので走りやすかったのだと思います。

さあ、これで私の100kmウルトラ挑戦はめでたく時間内完走で締 めくくることができました。
もうこれで思い残すことはありません・・・のかな?




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