激走 吉備路マラソン 2002

 その1

 さあ、腰痛を抱えての吉備路マラソン、とにかく無理をしないとい うのが大前提の参加です。今回は車で30分のところなので朝もゆ っくりと出発。

 制限時間は5時間、一応これは問題なくクリア出来るだろうと考 えていました(自分では結構走り込んだつもりなのです。と言って も、100km/月なんですけどね)。
 実は、目標は秘かに4時間50分。というのも、この大会には非情 な関門があるのです。
 25km地点で2時間55分、これはまあ良いとして、35km地点がな んと3時間50分! これは厳しい。5時間ぎりぎりの人にとってこ れが如何に厳しいか、これさえクリアすれば後は7.2kmを1時間10 分で走ればいいんですからね。
 ということで、なんとか35km関門をクリアして、後の7.2kmを1時 間で走って4時間50分という目論見のわけです。う〜む、そのため には、10km1時間5分少しで行けばよいわけだな。

 無料の豚汁を飲み、ついでにお汁粉も飲み、足にはチタンベル トを巻いて、9時半、予定どおりにスタートです。今回のフルマラソ ン参加は1900人でした。

 その2

 この大会は名前の通り、吉備路平野を走ります。ほとんどが畑 の中の平坦な道で、季節が良ければ菜の花やレンゲが咲き乱れ るところです。その代わり、沿道の声援はあまり多くありません。
 毎年悩まされる風も今年はほとんどなく(と言っても、これまでは 20kmの部にしか出ていません)、絶好のマラソン日和。今日は足 も軽く、心配していた腰も大丈夫です。

 ところが5kmの表示を見落として、ペースをつかみ損ないました。 果たしてペースが遅すぎないか、とにかく35km関門が重くのしか かります。

 10kmの表示を発見、な、なんと55分! これは早すぎる! 私の ハーフのときのペースではありませんか。
 道理で、今日は私の後ろにいるランナーがいつもより多いと思っ た。曲がり角で後ろを見ると延々とランナーが続いているのです。 いつもはそんなことはなく、私の後ろにはほんの一握りの人しか いないのです(笑)。
 でも、こんなペースでフルの後半が持つわけがありません。しか し、足はやけに調子が良いんだよなあ。

 その3

  なんとなくペースも良いままに走り続け、本当にこのままいけた らすごいぞ、と内心秘かに考えたりもするのです。
 足守川の橋のたもとでのボランティア・エイドでバナナをもらいま す。思わず「うめぇ」と呟きながら食べます。

 20km通過が1時間53分、まだまだ、いけてるじゃあないの! こ んなペースで本当に良いの?
 このあたりで吉備津神社にさしかかります。嬉しいことに、安倍 川餅がつけましたよ、とボランティアの人が配っています。これが また美味しい。ただ、お餅なので走りながら食べると喉につかえそ うでした。お茶も一緒に欲しいよぉ。

  吉備津彦神社で25kmの折り返し。順調に25km関門を通過した のでしたが、・・・あれ、どうしたんだ? こ、これは・・・? 急に太 股が上がらなくなってきました。ついに前半のハイ・ペースのつけ が回ってきたのです。残り17kmをどうするんだ?

 ここからが地獄の苦しみでした。あんなに辛い思いをしながら走 り続けたのははじめてでした。
 先刻まで併走していたお下げ髪の女の子に抜かれます。もう付 いていけません。情けないっ!
 腰もだるくなってきました。背筋を伸ばした姿勢で走っていると、 腰に負担がかかるようなのです。そこで、走りながら腰を少し前屈 みにして(お年寄りの猫背スタイルですね)、あれで走ります。しば らくすると背筋を伸ばしてストレッチをします。これを繰り返してい ると腰の方は、幸いなことにひどくなりませんでした。

 その4

  30kmを3時間3分で通過、この10kmは1時間10分かかっていま す。
 明らかにペースは落ちていますが、覚悟していたほどの落ち込 みではなかったことに、折角ここまで来たのだから、なんとか行こ うと意志を奮い立たせます。
 もう歩いてしまおうかな、との誘惑を必死で耐えて、時折り、立ち 止まって足のストレッチをしては、また走り始めます。ストレッチを していると、抜いていく人が「おーっ頑張れよ」と声をかけてくれま す。

  やっと35km! 時間は3時間40分。関門までには10分の余裕が ありました。
 さあ、後はどれだけの根性で走りきれるかです。
くそっ、身のほど知らずに頑張りすぎた、こんな苦しい思いまでし てなんで走るんだ? 楽しく走らなけりゃ意味が無いじゃあない か、もう二度と記録なんか狙わんぞ… いろいろなことを走馬灯の ように考えます(後から考えると、我ながら笑えるような低次元の ことばかり考えているなぁ)。

 37km辺りでのボランティア・エイドで、3分間の休憩。ごまのつい たおにぎりをもらいました。いやあ、あれは気分的に生きかえった なあ。
 再び痛い足を引きずって走り出します。今回はこの3分間の休憩 とストレッチ以外は立ち止まりませんでした。全く歩くこともしなか ったし、この点については我ながら感心感心。

 40kmを4時間18分で通過、街中へ戻ってきたものだから沿道の 応援も増えて、歩くわけにも行かず、最後までよろよろ…。
 結局、4時間33分の自己記録でゴール! 走りきってみれば、 大満足の結果でした。

 補足

 それにしても、終わって数日経つと、もう少し頑張れば4時間30 分を切れるなあ、と考え出してしまう自分が怖い(笑)。



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