2001年ホノルルマラソン完走記

1 今年の目標は

 午前4時、突然襲ってきた冷たいシャワーにびっくりしながら、T さんといっしょに集合場所のガソリン・スタンドをめざしました。集 合場所の合図であるWさんの掲げた風船は直ぐに見つかりまし た。あ、やっぱりSさんは淀川マラソンでお会いした方でしたね。
 それにしても、この集合場所はスタートラインの真横、目標5時 間の私にとっては畏れおおい位置だな。
いよいよスタートラインに立つことが出来るという高揚感で、楽しか ったですね、あの一時も。ここへやって来るまでのいろいろな苦労 が一気に報われたような気分になりました。

 シャワーもあがって、今年はないといわれていた花火も5時のス タート合図と同時に上がりました。
スターターの乗るクレーンには今年もマリナーズの”大魔人”佐々 木投手がいました。しばらく集団が走りすぎるのを待ってからいよ いよスタート。
 さあ、今回の目標も2つ。
 その1「5時間以内の完走」
 その2「途中で歩かない」
 淀川マラソンで果たせなかった2番目の目標は、ホノルルではど うなるのでしょうか?

     *

2 私の足は乳酸だらけ

 ペース配分は、前回5時間を切ることが出来た淀川マラソンを参 考にすることにしました。いわく、30kmまでをなんとか10km1時間 5分ペースで押して、後は惰性で頑張る、という単純明快なもの。

 ところが、思いもよらないアクシデントが発生。スタートして10分と 経たないうちに足が異様に重いことに気づいたのです。これ は・・・!
 考えられる原因はただ一つ、昨日、調子に乗って買い物で歩き すぎたこと。
 アラモアナ公園で朝のジョギングをした後、ナイキ・タウンへ行 き、DFSへ行き、カピオラニ公園へ行き、水族館近くの海岸からW さんに電話をして・・・。Tさんたちとの待ち合わせ場所の「アランチ ーノ」へも歩いて行ったのでした。しまった、今日の私の足はまだ 乳酸だらけだ。

 それほどセーブしているつもりではなく、自分ではどちらかといえ ば少し無理をしているかなというぐらいなのに、10km通過は1時間 9分かかっていました。これはいかんぞ・・・。

  今年は雲が厚く、朝日も勢いなく夜が明けてきました。昨年はカ ハラモールへ向かう道でまぶしい朝日を浴びて、最高に高揚した 気持ちになったのですが、今年はいつの間にか明るくなっていま した。
 ハイウェイに入る前の広い道はお気に入りの場所です。
 この辺りで15〜16km、よたよたと走っている太ったおばさんを抜 きます。どうしてこんなにゆっくりと走っているおばさんが、この距 離になるまで私の前にいたのだろう? と思っていたら、そのおば さんは気を取り直したのか、かなりのスピードでまた私を抜いて、 どんどん行ってしまいました。あれ、あのおばさんは私より早いん だぁ・・・。

 ハイウェイに入りしばらくして、猛スピードで折り返してきた谷川 真理選手とすれ違いました。今年は一人で走っているんだ、昨年 は一緒に走っていた女優の長谷川理恵はどうしているのだろう?
 今年は風が強くて冷たいなあ。

     *

3 ハワイカイのトイレ

 Tさんから分けてもらったエネルギー・タブレットを食べ、エイドで は水ではなくアミノバイタルを飲んでいるのに、すでに足は鉛のよ うに重い。すでに私の足は乳酸の固まりだぁ。

 ハーフを2時間25分で通過。この足の状態から考えると、後半の かなりの落ち込みは必死です。
 なにせ調子の良かった淀川マラソンのときですら前半2時間16 分、後半2時間40分という後半の落ち込みだったのです。

 本当は、あまり淀川の時のペースにとらわれずに、もう少し頑張 る気力を持ち続ければ良かったのですが、この時点で5時間以内 という目標は断念してしまいました。こうなれば残されたのは「歩 かない」と言う第2の目標だけです。

 気がゆるんだのか、まだ必要性は感じていなかったに、なんとな くハワイカイでトイレへ。ここでのロスが約3分。これが後に大きな 後悔となりました。

 かなり風の強いハワイカイを回り終え、帰りのハイウェイに戻っ てきた頃には、ゴールタイムは5時間半ぐらいになるだろうと思っ ていました。
 あとは完走するだけや、と、もう時計を見ることも止めてしまって いました。
 後で30kmの通過時間を見ると3時間28分でしたから、結構この 辺りまではイーブンペースでいけていたのですなあ。精神力のな さが情けない、とほほ・・・。

     *

4 走らなあかん、ゴールまで

 途中で歩かない、が残された目標ですが、棒のような足はもう上 がりません。
 なんぼにも辛い。そこで自分なりの特別ルールを作ってしまいま した。それは、「エイドで水分補給をするときや、ポーチに入れたエ ネルギー源を補給するときは歩きながらでよいこととする」・・・。さ あ、賢明な読者諸氏はもうお解りですね、そうです、それからは頻 繁にエネルギー補給をするようになったのです(笑)。

 そうは言っても、チョコレートや、タブレットを食べ終われば、遅い ながらも走るのですから、タイムもそれほど落ち込んでいませんで した。
 昨年はほとんど歩き続けだったカハラの住宅地もよろよろながら も走り続け、ダイアモンドヘッドにさしかかる頃、残り4km辺りでは、 あれ、思っていたよりも時間はまだ良いやん・・・、頑張ったら、ひょ っとして5時間切れるのとちゃうか・・・。しかし、気づくのが少し遅 すぎました(涙)。
(註:サブタイトルは大沢某の「走らなあかん、夜明けまで」をもじっ ています)

     *

5 奇跡の1マイル?

 ダイアモンドヘッドの登り坂でマーブルチョコレートを食べている と、看護婦さんの衣装の人に抜かれました。
 負けてなるものかと、一度は抜き返したのですが、長い下り坂で また抜かれました。看護婦さんはそのまま行ってしまいました。残 念。一生懸命走っているつもりなのですが、もう大腿が思うように 上がりませんでした。

  カピオラニ公園に入ってからの長い長い直線。
 ゴールはまだか、この長い最後の直線は人呼んで「軌跡の1マ イル」と言います。どんなに疲れ切っている人でも、沿道の声援で 走り切れてしまうとのこと。
 しかし、誰だ、「奇跡の1マイル」なんて言ったのは。どう考えても 5時間以内完走には数分足りない、「奇跡」は起きそうにないぞ ぉ。

 昨年は両手を上げてゴールしたから、今年は片手だけ上げてゴ ールしようっと。
 あ〜あ、5時間2分でゴォール! あ〜あ、ハワイカイでトイレに 行かなければなあ・・・(笑)。

     *

追記 看護婦さん、あなたのタイムは!

 翌日、DFSへ完走証を取りに行きました。
 1時ちょうどに行ったのにすでにかなりの列が出来ていました。 私の数人前に、ダイアモンドヘッドの下り坂で私を抜いていったあ の看護婦さんが並んでいました(むろん、この日はTシャツで普通 の服ですよ。南方系の特徴のある顔立ち(失礼)だったので覚えて いたのです)。
 友人と見せあっている彼女の完走証を覗いてみると、くっきりと 印字された彼女の完走タイムは、5時間カットの4時間59分でし た。うーむ、絶句・・・。




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