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1. スタートまで:あれ、間に合わないぞ
楽しみにしていた作州加茂郷フル・マラソンの日です。
車で行くことも考えたのですが、フルを走り終わった後の高速道
路で居眠り運転をしてはいけないからと、妻からJRの使用を命じ
られてしまいました。
津山駅に着きました。ランナーの格好をした人約30人が同じ列
車から降り立ちました。
大会の案内によれば、この列車の到着にあわせて駅前から送
迎バスが出ており、スタートの1時間前に会場に到着できるはずで
した。
ところが、駅前に待っていたのは15人しか乗れない小さなマイク
ロバスでした。これでは半分しか乗れないぞ。
駅から会場までは片道20分あまりかかります。運転手が携帶電
話で大あわてで連絡を取っているのが聞こえます。「いえ、このバ
スのピストン輸送ではスタートに間に合いません」。あれあれ、どう
なるんだ?
結局30分ほど待たされ、やってきたバスで会場に向かいました
が、到着したときはすでにスタートまでは20数分しかありませんで
した。急いで受付をしてゼッケンをもらい、着替えをして、ゼッケン
をつけて、トイレを済ませて、グランドに行ってみると、すでにみな
スタート地点に並んでいました。
そんなわけで、インターネットで連絡を取って集まりましょうといっ
ていた方々とはお会いできませんでした。残念。なんとか列の最
後尾に並びました。
今日の参加は1200人とのこと、今年から吉備路マラソンが中止
になり、岡山県内のフルマラソンはこの大会だけになったので参
加者が増えていると、周囲の人の話でした。
2.スタート:暑くなるぞ
良い天気です。軽い向かい風が心地よく、足取りも軽くスタート。
しかし、こりゃ暑くなるぞ。
今日のウェアは入手したばかりの「UMML」のロゴ入りのTシャツ
です。でも、残念なことにUMMLの衣装の人には一人も出会えま
せんでした。
さて、今回のコースの特徴は、加茂川に沿った折り返しのため
に、行きに350mをだらだらと上り続けることです。上り坂にめっぽ
う弱い私としては、折り返しまでの上りをどうやって克服するかで
す。
今日の段取りとしては、その折り返しまでをなんとか5km35分ぐ
らいのペースでいって、中間点通過を2時間30分ぐらいとして、後
半の失速を計算に入れて完走目標タイムは5時間15分、遅くても5
時間30分というアバウトなものです。
上り坂がどの程度の辛さか、気になるところです。
4kmまでは川に沿っていったん下ります。そこで対岸に橋を渡
り、そこから上り坂が始ります。5km通過が32分、ちょっとペースが
早すぎるかな。
川の向こう岸から小さな女の子の声で「がんばってぇ」と聞こえま
す。見ると、さっき通り過ぎてきた場所の子が声援してくれている
のでした。嬉しくなって、こちらも頭の上で大きく両手を振りました
が、わかったかな。
3.前半:上り坂だ
道に沿った小さな集落を抜けて走ります。10kmあたりで子供た
ちが並んで声援を送ってくれています。差し出された小さな手を10
人ほどタッチして走りました。こういうのって和みますね。
子供たちにかぎらず、沿道では沢山の方が応援してくれていま
す。特にお年寄りがいたるところで旗を振って声を掛けてくれま
す。うん、良い大会だ。
上り坂ですが、覚悟していたせいか、それほどきつく感じませ
ん。この日のためにコンベックスの坂道を走ったのだし、ジムのト
レッドミルでは6%の傾斜をつけて練習してきたのだから、と自分
に言い聞かせます。
加茂川に沿った国道に出ました。2ヶ所ほどで国道を横切りま
す。このあたりの幹線道路ですから車が長い列になって待ってい
ます。急いでいる人もいるだろうに、申し訳ないな。道路整理の係
員の方、ありがとう。
エイドは5kmごとに水が置いてあります。あと、バナナと黒砂糖
つきのかりんとうが置いてあります。かりんとうが甘くて美味しかっ
たですね。毎回、3つ4つをいただきました。
それにこの大会では頼んでおくと個人のスペシャルドリンクを各
エイドに運んでおいてくれるのです。小さなテーブルにゼッケン番
号を書いたボトルが並んでいます。おや、ということは、私より遅
い人でもスペシャルドリンクを頼んでいるんだ。次回は私も申し込
んでみようかな、なんだか格好よい気がするぞ。
この大会は私設エイドもいくつもあります。家の前にテーブルを
出して、飴やオレンジを並べてくれていたりします。感謝感謝。
4.折り返して:暑いな
18kmあたりで正午となりました。通りかかった加茂町役場のチャ
イムがなっています。温度計があり、なんと25度を示しています。
これは暑いはずだ。
ハーフの折り返し点に着きました。2時間22分と上り坂だったこと
を考えれば大健闘です。さあ、ここからは下りだし、何とかなるだろ
うと気を取り直します。頑張れば5時間カットが狙えるかも知れん
ぞ。人数的には前から3分の2ぐらいの位置でしょうか、よしよし。
実際に下り始めてみるとかなりの傾斜です。調子に乗ると膝に
きそうな感じです。来るときはこんなに上っていたのか。
折り返してすぐに、ドラえもんのぬいぐるみの女性とすれ違いま
した。この暑さであの全身のかぶりものは並大抵ではないな、と感
心します。
暑いものだから各エイドごとに水をがぶ飲みします。どのランナ
ーも、汗が乾いて塩となった結晶がウェアにくっきりと白く浮いてい
ます。これだけ飲んで、それでも脱水気味なのか、それとも水中毒
気味なのか、自分でもわからなくなってきました。
25km近くの私設エイドでおにぎりとたくわんをいただきます。温
かいお茶もいただきます。おいしい。
ここで少しゆっくりしていたせいか、ドラえもんに追いつかれてし
まいました。周りの人との会話、「ドラえもんならタケコプターを出し
てくださいよ」「私はどこでもドアを出したいくらいですよ」。居合わ
せた人はみな大笑い。
そのあと、ドラえもんはさっさと行ってしまい、二度と追いつくこと
はありませんでした。やはりかぶりもので走ろうかという人は、か
なりの実力の持ち主なんだな。
5.後半:疲れました
30km近くで噂の私設エイドがありました。なんとお好み焼きを焼
いてくれています。それにフライドポテトまで揚っています。食べた
かったのですが、とても胃が受け付けてくれそうにありませんでし
た。ここでリタイアしてビールでも飲みながらポテトを食べたら美味
しいだろうな、と思いながら通り過ぎました。
30km過ぎ、ついに力尽きてきました。足は痛くはないのですが、
太ももがだるくて上がらなくなってきました。暑さでかなり消耗して
いるな、という感じです。
立ち止まってヤンキー座りのストレッチをして、またよろよろと走
り始めるというパターンになってしまいました。このあたりでは5km
に40分近くかかっていました。こりゃあいかん。
この頃から何回か、収容バスが後ろから走ってきては追い抜い
ていくようになりました。みるとバスには結構乗っている方がいま
す。私より後ろの人たちが次々に収容されていったら、ついには
最後尾になってしまうぞ。まずいな。
このあたりから60歳ぐらいの痩身の方と前後して走りました。そ
の方はゆっくりなので追い越すのですが、こちらが立ち止まってス
トレッチをしていると抜かれます。ゆっくりですが立ち止まりませ
ん。すごいもんだと感心します。ああでなくてはいかん。
ところが、35km過ぎに、ついにその方も歩き始めてしまいまし
た。頑張ってくださいよぉと思いながら追い越しました。
6.ゴールまで:なんとか完走!
やっと残り5kmまで来ました。時間は4時間20分。残り5kmを40分
か、今の疲れようからすると、5時間カットにはぎりぎりです。
川風は気持ちよく、のんびりとした山あいの道を下っています。
本当はもっと気持ちに余裕を持って、走ることを楽しまなければい
けなかったのですが、このあたりでは、もう必死でした。歩いては
いかん、何のためにここまで来たんだ、走り続けろ、と、自分を鼓
舞します。
残り1km地点で4時間54分、これは厳しいなあ、と思いつつ最後
の力で運動場への坂を駆け上がりました。会場では、グランドに
戻ってきた選手のゼッケン番号と名前をマイクで読み上げてくれ
ています。
ゴォール!、5時間1分でした。スタート時に2分ぐらいのロスがあ
りましたから、正味でなんとか5時間ぎりぎりというところでしょう。
この難コースで、この暑さで5時間でしたから、自分ではよくやった
というところでした。
着替えをして、無料の昼食券で天婦羅うどんをいただきました。
係りのおじさんが、「前夜祭も楽しいから来年はぜひ前の晩から
来なさい」と言ってくれました。本当に地域の人が一丸になって支
えているなあ、という印象の大会でした。
芝生に座り込み、風に吹かれながらゆっくりとうどんを食べまし
た。
帰りのJRでは疲れがどっと出て、予想にたがわず爆睡。妻の言
うとおりにして大正解でした。
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