ホノルル・マラソン 2004

1.はじめに 

 今回のホノルル行きは、実際のところ、どうしようかと、かなり迷 っていました。一 時は、今年はホノルル・マラソンではなくて、その 1週間前に沖繩で開かれるNAHA マラソンにしようか、と思ってい ました。 
 しかし、秋になったころに、ホノルルのあの明るい空が懐かしくな り、甘いクッキー の匂いがするカラカウア通りが懐かしくなりまし た。 
 そうなると、それまではインターネットで沖繩のホテルを検索した りしていたので すが、ホノルルのホテル検索に変わるのに日にち はいりませんでした。 
 そんなこんなで、5回目のホノルル・マラソン参加でした。毎年、 行かせてくれる妻 に感謝です 

2.スタートまで 

 2時起床。いよいよホノルル・マラソンの朝が来ました。昨夜は10 時過ぎにベッド に入ったのですが、ABCストアで買った寝酒のバ ーボン・ウイスキーが良かったの か、かなり眠れています。 

 ホテルが弁当を作っておいてくれたというので、フロントへ取りに 行きます。 
 ロビーでは、日本からのマラソン・ツワーできている人たちが、も う集まっていて、 ぞろぞろと出発しています。早いなあ。 
 さて、その朝食弁当はおにぎり2個、漬け物、それになんと鳥の 唐揚げ、という内 容です。これから走ろうというのに唐揚げなんぞ という油っこいものを食べて良い のだろうか、と考えながらも、せ っかくだからと、完食。本当はバナナみたいなもの の方がよかっ たのだろうなあ。 

 身支度を整えて3時過ぎにカピオラニ公園へ。 
今年も個人手配でホノルルへ来ましたから、スタート地点へは大 会事務局が用意 してくれたバスで行かなければなりません。 
 未だ暗いカピオラニ公園は夥しい数のランナーです。しかし、集 まっているバスも 半端な数ではありませんから、あまり待つことも なく乗車できました。 
 日本からのマラソン・ツワーで参加している人たちは各旅行会社 が専用バスを用 意しますから、このオフィシャル・バスを利用する のは外人がほとんどです。このあ たりからすでにテンションの高 い外人のグループもいます。 
 いやがうえにも、気分が高揚してきます。いよいよだぞ。   

 去年はアラモアナ・ホテルの横でバスから降ろされましたが、今 年はアラモアナ 公園のかなり奥の方まで送ってくれました。4時 前に無事に到着。 
 スタートラインの横のあたりに仲間と集まることにしていたのです が、半端な人の 数ではありませんから、なかなか大変です。それ でも無事に落ちあえて皆で完走を 誓い合いました。 
 もう、この場所に来れたことがうれしくて、みんなニコニコ顔で す。  

3.暗いダウンタウンからワイキキあたり 

 5時、いつものように花火が上がり、列がゆっくりと動き始めまし た。スタートライ ンのところでは、今年のスターターの野口みずき さんに手を振って通過、このあた りから、やっとジョギング並の早 さで走り始めました。 

 スタートからしばらくはSさんと一緒に走りました。彼女とは、四万 十川ウルトラ・マ ラソンのときも途中で一緒になり、少しの間、一 緒に走っています。・・・でも、結局 はおいていかれるんだよね (泣)。 
「あれ、1kmの距離表示があるね」 
「キロごとの表示なんてあったかなあ」 
「最初だけとちゃう?」 そのとおりでした。 

 ラップ記録をどうとるか、迷いましたが、1マイルごとに記録する ことにしました。そ れに5kmごとと、ハーフ地点。 
ところが、これがそのときはわかっているつもりでも、あとになると 意外に混乱しま す。今回も、あれ、これは何マイルの通過タイム だろう?ということがいくつかあり ました。 

 5km地点で34分と、まずは計算通り。 
 今回のホノトピでの目標タイムは4時間45分です。1マイル10分 あまりでいけばな んとかなるという計算です。 
 ナイキが作ってくれたペース表をリストバンドに入れて手首には めていましたが、 結局これは一度も見ることはありませんでし た。 
 欲をかいて4時間30分で計算した表を入れていましたから、自分 でも現実的では ないなあ、と思っていたし(だったら、そんな計算 表を作るなよ)、だいいち、暗い間 はまったく見えませんでした。  

 ダウンタウンの辺りをぐるっと回って、市庁舎のあたりはクリスマ スのイルミネー ションがきれいな場所です。 
 するとSさんは、「写真を撮っていくから、先に行っていて」と言っ てデジタルカメラ を手に傍らへ。すごい余裕だな、こちらはとても そんなペース変動はできないよ。 

 そこからはしばらく一人で走りました。 
 まだ来ないな、と思いながら1kmぐらい走ったところで、Sさんが 「見っけ」と言いな がら追いついてきました。 
 ところが彼女は追い上げてきたそのままのスピードで行ってしま いました。さすが に何度もウルトラ・マラソンを走りきっているだけ あって、早い。ありゃあ、4時間半 をきるペースだぜ。 

 今年も2つ目のエイドまでは水だけでした。3つ目のエイドから は、今年はアミノバ リューがありました。去年のゲータレードより は飲みやすい感じです。 

 ワイキキのホテルが並ぶ辺りで、全身かぶりものの有名人・ダー スベーダーに抜 かれました。あちゃー、今年も抜かれちゃったよ。 このごろはダースベーダーに追 いつくことができません。 
私は、一昨年より昨年、昨年より今年の方が早いのですが・・・。 ダースベーダーも 前より早くなったんとちゃう? 

 このあたりは早朝にもかかわらず、すごい沿道の声援です。全く 途切れることは ありません。こんな応援の中を走れるなんて、な んて幸せなんだ、とつくづく思いま す。 

 10km通過が1時間5分。まあ、いいのではないでしょうか。 

4.ダイアモンドヘッドからカハラへ 

 暗いカピオラニ公園をすぎて、昨年はこの辺りからもう足が重か ったのですが、 今年はそれほどでもありません。やはり前日に買 い物で歩き回るのを控えたのが よかったのかな。 

このあたりから、いよいよダイアモンドヘッドの上り坂にさしかかり ます。 
道幅が急に狭くなりますが、それほどの渋滞にはなっていませ ん。多少スピードが 落ちるものの、走れる程度の混み具合です。 

 ダイアモンドの坂を下り、左に折れます。このあたりで念のため にトイレ休憩を1 回。 
 右へ曲がり、もう1回右へ曲がり、カハラへ向かう長い下り坂に 来ました。視界が 開けて、ずーっと先まで続くランナーの列が見 えて、大好きな場所です。 
 ここでちょうど15kmぐらい、時間は1時間40分。うん、気にしてい ない割にはいい ペースだな。 

 今年は時間を気にせずに走ることにしていたのですが、気負っ ていないのが、か えっていいのかもしれません。いつもは時間を 気にして(私なりに)必死に走るもの だから、 
後半は辛くなって、ゴールの辺りでは息絶え絶えになってしまいま す。今年はそん な雑念をふりはらって、のんびりとゴールする予 定なのです。 
 あたりも次第に明るくなってきました。さわやかな気持ちのよい 朝です。 

5.いよいよハイウエイです 

 ハイウエイに入ってまもなく、復路のトップ・ランナーたちとすれ 違いはじめます。 早川英里選手は、今年は女子の2位でした。 
 今年は風が穏やかです。太陽も雲が遮蔽していて、直射日光は ありません。これ までの私が参加したホノルル・マラソンの中では 一番走りやすいお天気でした。 

 ところが、お腹の具合が悪くなってきました。こりゃあいかんぞ。 こんなことは走っ ていて初めてです。やっぱり朝に食べた鳥の唐 揚げが良くなかったんではないか い? 
 どうしても我慢ができなくなってきたために、次にトイレがあった ら、と覚悟を決め ます。 
 13マイル地点で海に面した公園があり、そこにトイレがありまし た。コースの復路 側のせいか、幸い、並んでいる人はほとんどい ません。ドアを開けると中もまだ比 較的きれいで、ほっとしまし た。 
 ここで7分余りのロス・タイムでした。まあ、仕方がないや、とあき らめます。 
 コースに戻りまもなくがハーフ地点でした。2時間24分。お、トイ レ・タイムがあっ たわりには良いんではないの。これなら後半のペ ースダウンを考えると、4時間45 分は厳しいにしても、5時間は切 れそうだな。 

 ところが、どうも未だお腹が圧迫されるような気がします。ウエス トポーチが妙に お腹に当たるようで、これも気になります。 
 そこで、ウエストポーチを腰からはずして、斜めに肩に掛けてみ ました。(そうやっ て走っている人を見ていたもので) 
 搖れて走りにくいんじゃないかな、と思っていたのですが、これ がどうして、良い感 じなのです。お腹の圧迫感はないし、ベルトの 巾が太いのでリュックサックほど肩 にも負担がきません。 
これからはウエストポーチは肩にかけようかなと思わせるほどで、 わりとお勧めで す。  

6.ハーフ地点からハワイカイあたり 

 ハーフまで来たのでそろそろエネルギー補充をしなくては、と、ウ エストポーチか らエネルギー・ゼリーを取り出します。 
 今回のポーチの中身は、と・・・ 
エネルギー・ゼリー 1個(確か160Ccalぐらい) 
ライト・ミールという名前のカロリーメイトみたいなやつ 2本(1本 が100Cal、ただ し、これは食べませんでした) 
ブドウ糖タブレット 40粒 
使い捨てカメラ  ウエットティッシュ 
ホテルのカード・キー  20$紙幣1枚 
カット絆2枚  注射針2本 
 この中で使ったのは、ゼリー、タブレット、カメラ、これだけでし た。毎年、だいた いはそんなものです。結局は使わない物が多い のですが、安心料みたいなところ があります。 

 ハワイカイに来ました。 
 昨年はこの辺りでもうかなり苦しくて、歩きたくなるのを何とか我 慢していると言っ た状態でしたが、今年はそれほどでもありませ ん。 
 この入り口あたりではマラソン・フォトのカメラマンがいますから、 颯爽と走ってい る自分をイメージして通り過ぎます。(はたして、こ の地点での写真はなかなかによ い出来で、一応、走っているよう に見えます(笑)。) 

 ぐるっと回るハワイカイは4kmぐらいのはずですが、これはなか なか遠く感じま す。 
 私の早さでいくと、ハワイカイを回るのに30分近くかかりますか ら、そのくらいのタ イム違いの人とはすれちがわないことになりま す。 

 ハイウェイの折り返しに出てきました。 
このあたりの往路側では、歩き始めている人が少なくありませ ん。 
まもなく30km地点、3時間23分。 
全身かぶりもののドラえもんとすれ違います。あれ、去年はドラえ もん・ツインズだ ったのに、今年は一人で走っているぞ。もう一人 は? 

7.後半のハイウエイからカハラ 

 ハイウエィイの道端ではところどころに舞台を組んで楽団が演奏 をしてくれていま す。 
使い捨てカメラで写真を撮りました。結局、今年はコース上での写 真はカハラへ向 かう下り坂の辺りと、ハワイカイから復路へでてき た辺りの風景と、ハイウエイでの 楽団と、この3枚だけでした。 

 ホノルル・マラソンには毎年、修学旅行で参加している高校があ ります。さすが若 さだ、としっかり走っている子もいれば、全くへば ってしまっている子もいます。 
 この辺りから一人の高校生と前後しました。しばらく併走するよう な形になったの ですが、彼のペースが落ちたので抜きました。す ると、意地になったようにペースア ップして抜き返してきました。し ばらくすると、また彼のペースが落ちたので、抜きま した。すると、 またペースアップして抜き返してきます。 
 そんなこんなで、ハイウエイの後半を競り合いながら走りました。 なんか微笑まし い感じで、親近感をおぼえます。 
 結局、ハイウエイの終盤で抜いたままとなりました。あれ、追い 返してこないぞ。 彼は最後までがんばったかな? 

 ハイウエイの終盤にかかる頃に35km地点です。時間は3時間57 分。 

 ハイウエイを降りてカハラに入ります。 
 次第に足は重くなってきましたが、痛いと言うほどではありませ ん。ウルトラを走 ったときのあの足の痛さを思えば、重いぐらいは 何でもないぞ、と考えます。 
 やはり、萩往還マラニックとか、四万十川マラソンとか、身の程 知らずのウルト ラ・マラソンの挑戦はいずれも挫折しましたが、志 だけは果敢でしたので、少しは 根性をつけるのに役だったのかも しれません。 

 カハラ・マンダリン・ホテルの前の角では、ボランティアによる写 真撮影がありま す。 
 昨年も、膨大な数の写真が、通過時間に沿ってインターネット上 にアップされまし た。 
半端な数の写真ではありません。小学生、消防士などのボランテ ィアの協力で撮 影しているということです。昨年は私は2枚に写っ ていました。 
 今年も写しているかな、と思いながら通過したのですが、どこで 写しているのかは 判りませんでした。はたして今年もアップされる のでしょうか?  

 カハラの途中のエイドにやけに人が集まっています。TVカメラも 2台回っていま す。 
おや、と思ってみると、野口みずきさんが給水のボランティアをし ていたのでした。 
ちょうど道の反対側を走り抜けながら確認したので、そこから引き 返して水をもら いに行く気にまではなれず、そのまま通り過ぎまし た。 

 このあたりで、数キロにわたって、私にぴったりとついて走ってい る女性がいまし た。 
 おお、私もペースメーカーに利用されるようになったか、と感慨無 量になります。 
 というのも、これまで、私も幾多の見知らぬ方をペースメーカー に見立てて走らせ てもらいました。失速しそうになるのを何度も助 けてもらっています。 
 くだんの女性は息使いからも、かなりいっぱいいっぱいなのがわ かります。 
思わず、私についてきなさい、5時間を切らせてあげましょう、と偉 そうなことを言っ てみたくなりましたが、まさかね、さすがにそんな ことは言えませんでした。 
 やがて、その女性は後ろへ離れていってしまいました。あのあと も頑張って走れ たか、ちょっと気になります。  

8.いよいよ最後 

 ダイアモンドヘッドが見え始めたあたり、あれ、前方を歩いている のはSさんで は? 
 Sさんはピンク色の阪神タイガースの衣装にピンク色の王冠のか ぶりものですか ら、ま、すぐにわかります。 
 追いついて、Sさん!どうしたの? 
 少し並んで歩きます。どうも腰痛がでてきて、上り坂が走れない とのこと。 
それは辛いなあ。 
「無理しないように」と言い残して、先に行かせてもらうことにしまし た。 

 昨年は喘ぎながら上った最後のダイアモンド・ヘッドの坂も、今 年はそれほど苦し くありませんでした。 
 けっこう歩いている人も多いのですが、気持ち的に、のんびりで いいや、と思って いると、かえって足が軽いようです。きっと私は、 プレッシャーにめちゃ弱いタイプな のでしょう。 

 ダイアモンドヘッドの坂を下り、カピオラニ公園に入り、いよいよ ゴールへの長い 直線です。 
 この辺りに最後のJALのエイドがありますが、ゴールまであと少 しなので、私はこ こへ寄ったことがありません。 

 ゴール時の写真のことを考えます。すぐ直前にランナーがいると 隠れてしまいま すから、前のランナーと重ならないようにコース取 りや間隔をチェックします。 
 ゴール! みごと、最初の目標と数十秒違いの4時間44分でし た。 
 のんびりと、と思いながら走って、時間のかかる方のトイレにも 初めて行ったりし たのですが、終わってみれば、なんとホノルルで の自己記録更新でした。 

9.おわりに 

 受け取ったアミノバリューを飲みながら公園に入るフェンスの方 へ行きかけると、 マスクを取ったダースベーダーがやはりアミノバ リューを飲んでいました。ダースベ ーダーは顔面もちゃんとペイン トしています。 
 何かで読んだのですが、マスクを取ったときに顔面にもペイント してあるのを見て みなが感心してくれるのが楽しいとのことでし た。  

 カピオラニ公園ではHさんご夫妻や、3分遅れでゴールしたSさん (立派!)と再 会。誇らしげに完走Tシャツ(今年はえんじ色でし た)を掲げて写真を撮りました。 
 公園にはまぶしいホノルルの光が満ちあふれていました。 



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