エッセイ
半年前に、「どうるかまら」という新しい同人誌を立ち上げた。
詩誌に参加することがどのような意味を持つのか、明確に述べ
ることは難しい。 しかし、これまでに参加してきたいくつかの詩誌
のどれかひとつが欠けても、今の 私とはまったく異なる場所に立
っていただろう。
それほどに、詩誌は私に大きな影響を与えてきた。
センナヨオコという古い友人がいた。
友人といっても、未だ学生で詩を書いていたころに一回だけ会っ
たことがある、と いう仲であった。どんな経緯で会うことになったの
か、全く忘れてしまったが、その あとでお互いの詩集の解説を書
きあったりしたから、しばらくの間は連絡を取りあ ってはいたのだ
ろう。
大学をでて、社会人になってから私は詩を書かなくなった。
そして十五年が経ったある夜、ふいにセンナヨオコ氏からの電話
が入った。
「新しい同人誌を企画しているのだけれども、瀬崎さんも参加しま
せんか?」
その夜の電話で、私は十五年ぶりにふたたび詩を書くようになっ
た。
新しい同人誌「堕天使」のメンバーに、彼女がなぜ私を加えるこ
とを思いついた のかは未だに謎である。
「堕天使」は創刊したときから、九号を出したら解散する、との申
し合わせがあっ た。
そして五年が経ち、とても居心地の良い詩誌であったが、今後は
それぞれで書い ていこうと解散した。
それから私は個人誌「風都市」を始めた。
岡山で詩を書いている方々とも知り合うようになり、「詩脈」の同
人にも加えてもら った。
そんな四年前のある夜のこと、ふいに電話がかかってきた。
「新しい同人誌を企画しているのだけれども、瀬崎さんも参加しま
せんか?」
一面識もない原田道子氏からの電話であった。当時、原田氏は
日本詩人クラブ 新人賞の選者をしており、候補になった私の詩集
を読んでくれたのだろうと思え た。
そして私は新しい同人誌「ERA」に参加することになった。
発行されるたびに開かれる「ERA」の合評会は、同人仲間の間
で”恐怖の”と言う 形容詞が付くほどに忌憚のない意見が交わさ
れる場で、大きな刺激の場となって いる。
毎月多数の詩誌が送られてくる。おお、全国にはこんなに良い
詩誌がたくさんあ るのだ、と感慨を深くする。
さて、「詩脈」が終刊となって新しい同人誌を立ち上げたわけだ
が、これによって 私は何処まで行くことができるのだろうか。
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