世界遺産をめぐるアンコールワット・マラソン


なんといっても、世界遺産のアンコールワットの名前を付けた大 会。
もうそれだけで、一度は走ってみたいと思わされてしまう。
コース図を見ると、アンコール・ワット前からスタートして、周囲に 点在している無数の遺跡の周りをはしるようだ。魅力的。

しかし、カンボジアまでいくのがまずは問題。
今回はのツワーは成田からベトナムのホー・チミン空港を経由し てシェムリアップ空港へ向かう。
日程は5泊6日。ツワーの参加人数は17人だった。
10時過ぎに日本を出て、カンボジアに着いたのは19時。
これには時差の2時間が入っているので、移動時間は11時間あま りとなる。
時差が少ないので、移動時間がかかった割りには身体は楽であ った。

アンコール・ワット観光の拠点であるシェムリアップは今や世界的 な観光地。
ホテルも数多くあって、今回のホテルも清潔で、トイレなどもまった く問題なし。
ただし、お湯が出ないことはよくあるとのことだった。
生水は例によって不可。必ずミネラル・ウォーターを飲むようにと、 厳重に注意された。

とにかく蒸し暑い。風もほとんどない.。
たとえば、気温的にはホノルルも同じようなものなのだが、あちら はカラッとした暑さで風が絶えず吹いているので心地よい。
それに比べればカンボジアの不快指数はとても高い。
ホテルのベランダでビールを飲もうとしたのだが、あまりの暑さに、 冷房の効いている室内に早々に退散したほど。

   ***

さて大会当日。
4時に起床して、前夜に配られたおにぎりの朝食をとる。
まだ暗い5時にホテルを出発して大会会場へ向かう。投光器で照 らされた会場はかなりの人でごった返していた。

明るくなりかけた6時半にアンコール・ワット前をハーフ・マラソンの スタート。
アンコール・ワットは堀に囲まれているのだが、その堀に沿って少 し走った後は一度南へ遠ざかる。
そして3.5km地点で折り返してまた元の堀沿いに戻ってくる。ハー フ・マラソンの距離合わせのようだ。

ほぼ3km毎に給水があり、現地の子ども達が水を手渡してくれる。
生水が心配だったのだが、100mlのペットボトルを1本ずつ手渡し てくれた。これは給水する方も大変だなあ。
そして飲み終わったペットボトルの山が道端にできている。これは 回収も大変だなあ。

アンコール・ワットの堀に戻ってしばらくして、密林のなかを切りひ らいた道に入っていく。
道はちゃんと舗装されていて走りやすい。
かつてアンコール・ワットの写真を撮りに出かけた日本人の著書 に「地雷を踏んだら、さようなら」というのがあった。
さすがに今は観光客が訪れる地域では地雷の心配はないよう だ。

道の両側には高い木々が生い茂っており、直射日光を遮ってくれ たのは幸いだった。それでも30度を超える温度に、高い湿度。
これほど汗がふきでたマラソンもなかったのではないかと思える。

   ***

9km地点でプラサット・クラヴァンというヒンドゥー教寺院の遺跡前 にでる。
ここからは、なんと1km毎に遺跡が点在しているという。やはりす ごいコースである。
10kmあたりでは左手に外壁がつづき、バンテアイ・クデイという僧 坊の砦がある。
石造りの門には大きな人面があしらわれている。
その反対側の奥には、スラ・スランという広大な沐浴池もひろがっ ている。

ところどころで子どもたちが並んで応援してくれる。
一般にカンボジアの人たちはとても友好的である。ずらっと並んだ 子どもたちとハイタッチをして通り過ぎる。

11km地点で外壁沿って走っていたバンテアイ・クデイの北門を通 り過ぎる。
いかに広大な遺跡が点在しているかが判るというもの。
13km地点のあたりだけは砂利道だった。しかし路面は良く整備さ れていた。
そしてここにあるのが、あのタ・ブロム寺院。
巨大な樹木の根が遺跡に絡みついて不思議な光景を作りだして いることで有名だ。
それにアンジェリーナ・ジョリーの映画「トゥーム・レイダー」のロケ 地にもなっている。

うっそうとした密林を切り開いたコース。
走っている人もみんなあちらこちらで記念写真を撮りながら、マラ ソンを楽しんでいるといった感じの大会。
記録などは望むべくもなく、だいたいがチップを装着して走ったの に、計測記録は出ないという不思議な運営でもあった。

とにかく遺跡だらけ。
14km地点で砂岩で作りかけられて未完のままだったというた・ケ ウという寺院の前を過ぎる。
15km地点では道に両側に、トマノン、そしてチャウ・サイ・テボーク という遺跡が並ぶ。
どちらも積み上げられた岩には繊細なレリーフが刻まれている。 気の遠くなるような作業が続けられたのだろうなあ。

   ***

16kmでついに前方にアンコール・トムの巨大な勝利の門が見えて きた。門の上には人面仏が付いている。
この門をくぐり抜け、ここからはトムの中の王宮へ向かう道を走 る。
17km地点で王が凱旋してきた兵士を迎えたという象のテラスにぶ つかり、ここから左に折れてテラスに沿って走る。
18km地点では、四方に大きな人面仏を彫り込んだ塔で有名なバ イヨンの前に出る。
クメール寺院の代表とされていて、ここも記念写真の定番の場所 だな。

トムの中には象に乗った観光客も行き来している。
19km地点でアンコール・トムの南門から外に出て、あとは一路ア ンコール・ワットを目指す。
ワットの掘りにでたら、それに沿って走り、ついに2時間19分でゴ ール!
12の遺跡をめぐるマラソン大会というのが謳い文句だが、たしか に他では味わうことの出来ない密林マラソンであった。

汗びっしょり。
付近の屋台で売っていた氷水につけたコーラの美味しかったこと といったら。

   ***

その夜はホテルからトゥクトゥクで繁華街に出かけた。
そして映画「トゥムレイダー」の撮影時にアンジェリーナ・ジョリーが よく通っていたというレストラン「レッド・ピアノ」で夕食を食べてき た。
印象に残る大会としては、やはり1,2を争うのではないだろうか。



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