初めてのドクター・ランナー 岡山マラソン2016

2回目の岡山マラソンを走ってきた。
今回は、県の医師会から、ドクター・ランナーとして走りませんか、 との要請を受けていた。
2週間前に大阪マラソンを走ったばかりで、この歳になれば未だ疲 れが残ってはいるのだが、今回はドクター・ランナーなのでタイム は気にしないで済む。
これは気が楽。

ドクターランナーは49人。
完走予定時間が4時間から30分刻みの設定となっていて、各班に 9〜10人がいる。私は5時間30分で走るD班で、スタートもDブロッ ク。
昨年はこの大会を5時間10分で走っているので、それよりは20分 ゆっくり走ればいいということになる。これはかなり楽な設定とな る。

今回のフル・マラソン参加者は15,000人。
幸い天気は曇り空で、朝の気温は10度と寒くもない。しかし、日中 は20度まで上がる予報だった。

今は愛媛に済んでいる息子も参加するということで帰省していた。
息子は県外居住なので、ドクターランナーではなく一般ランナーで 申し込んでいた。
サブ・フォーをめざすという息子はBブロックからのスタートだった。

   ***

本部から受けとったドクターランナーと書いてあるビブス(赤いベス トです)を着込んで、8時45分にスタート。
とにかく今日は普段よりはスピードを抑えて走る。
5時間半で走るということになると、1kmを7分半から8分のペース で走ればいいことになる。

一応はドクターランナーと回りに宣言して走っているようなものな ので、何か調子の悪そうな人はいないかと、道路の端の方をラン ナーを眺め回しながら走る。
救護の方ですね、と後ろから声を掛けられ、絆創膏はありません かと言うことだったので、ウエストポーチから2枚取り出して渡して あげる。

最初の5kmも、次の5kmも時計を見ると35分で走ってしまってい た。
いかん、こりゃちょっと早すぎる。
ということでそこからは5km38分ぐらいにスピードを落とす。
これぐらいのスピードだと普段より身体はかなり楽。

そして気づいたのだが、これぐらいのスピードで走っていると意外 に退屈なのである。あれ?
いつもは遅いながらも自分としては精一杯で走っている。
このスピードで最後まで持つだろうか、この調子だとゴールがこれ ぐらいになってしまうからここでもう少しだけ頑張るか。
こんなことをのんびりランナーとしてもそれなりに考えながら精一 杯に走っている。
しかし、今日はタイムは気にしていないので、考えることもない。
ただ周りの景色や他のランナーを眺めているだけなのである。こ れは意外に退屈なことだった。

何人かのランナーに、お医者様ですか、ご苦労様です、と声を掛 けられる。
そうか、少しは役にたたないといけないな。でも役にたつ場面が起 きない方がいいんだよな。

沿道からも、先生、頑張って。ドクター、頑張って、と声を掛けられ る。
こりゃこっちが弱っているわけにはいかないから、余裕をかまして 走っている風に見せないといけないな。

   ***

コースは駅裏の総合運動湖園をスタートしてからは目抜き通りや 駅前を通って、一路南下。埋め立て開拓したような田園の中を走 る。

一部で折り返しになっている。このあたりでは息子が来るかなと思 いながら道路の中央よりを走る。
こちらが15km地点で向こうが20km地点のあたりで息子とすれ違っ て、お互いに手を振り合った。
息子の少し後ろを4時間のペースランナーが通り過ぎていったの で、調子は悪くないようだった。

で、中間地点通過が2時間44分だった。おお、こりゃ完走5時間半 予定の想定通りではないか。

25kmを過ぎると疲れが出てきたランナーが出始める。
歩きはじめていたり、コースの横で足のストレッチをしたりしてい る。

今回のドクターランナーの使命は、とにかく生命の危険を回避す ること。これが使命。
昨年は1名の心肺停止者が出て、AEDで蘇生をおこない命が助か ったとのこと。
そのほかに救急車での搬送が1名あったとのこと(この方も翌日に は退院できた)。

私も仕事柄、心臓マッサージや人工呼吸はかなりおこなったこと がある。
AEDについては、うちの病院では3000人の全従業員(検査技師は もちろん、事務員も)に毎年人体モデルを使った実習訓練が義務 づけられている。
今回は大会前にドクターランナーへの説明会もあって、倒れてい る人を見かけたらの手順なども伝達されていた。
いわく、声を掛けて本人が返事ができる意識レベルの症例ではそ れなりの対応で結構です、あくまでも生命の危険に対応すること を目的としていただきたい。了解です。

コースの横で座り込んだり、寝転んだりしている人が増えてきた。
座っていられる人は大丈夫として、寝転んでいる人には一応声を 掛ける。
ほとんどが足の痙攣だった。ふくらはぎだったり、太股だったり。
痙攣の部位によってストレッチをしてやる。本当はこれは対応しな くてもいいんだけれどな。
まあ、今回は無報酬ではあるけれども、参加費をただにしてもらっ ているからこれぐらいはしないと、な。
少し収まりました、だいぶ楽になりました、なんとか歩けます。じゃ 無理しないで。一人につき3〜4分はとられる。

一人は熱中症気味となっており、リタイアの意思を確認してからそ の場所管轄の救護所へ連絡して(救護所の地図、電話番号の一 覧表を持って走っていた)搬送を依頼した。

   ***

なにやかやで後半になると時間を取られるようになった。
事前伝達では、救護で時間を取られた場合はその分は設定完走 時間を遅らせてください、ペースを上げる必要はありません。もし そのために関門時間が過ぎてしまった場合も、ドクターランナーは 通過できますから最後までお願いします、ということだった。

でもまあ、遅れた分ぐらいは取り戻して走ろうかな。
前半に足を使っていなかったので、30km地点にある高低差17mの 岡南大橋も、昨年は歩いてしまったのだが、今年はゆっくりと走っ てのぼった。
そのたもとにあるのが笠岡ラーメン・エイド。去年はここの列に並 んでラーメンを食べた。
しかし、今年は救護で使った時間を取り戻そうとしてスルー。脇を 通り過ぎた時の醤油の匂いが美味しそうだった。

そこからは旭川に沿って街の中心部へ戻っていく。
もうこのあたりの時間の人は半分ぐらいの人が歩いている。それ を縫ってゆっくりと走りつづける。
やがて岡山城、後楽園が見え始めて、最後に跨線橋を越えて総 合グランドに戻ってきた。

   ***

完走タイムは5時間31分だった。おお、予定通りだ。
あれ、すると後半はあれだけ救護に時間を取られたのに、中間点 までと同じタイムということは、後半の方がかなりスピードアップし ていたんだな。
正味の走行時間では昨年とあまり変わらない時間で走ったことに なるのではないだろうか。
まあ、ストレッチをしてあげている時間はこちらも走るのを休んで はいるのだが、それにしても、これはかなり立派な出来なのでは ないかと、自画自賛。

ちなみに息子のタイムは3時間59分でした。サブ・フォー、お見事。



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