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1.スタートまで
芦屋駅から15分、足早に歩くと汗ばむような良いお天気です。
会場の運動公園は桜が満開でした。今日の大会は3kmのファミリ
ーマラソンからハ ーフマラソンまであり、出場者は全部で5000人と
いうことでした。広い公園内は家 族連れでにぎわっており、華や
かな行楽地という感じです。
10kmの部には千葉真子選手がゲストとして走ると言うことでした
が、あまりに人が 多くて全くわかりませんでした。
ハーフのスタートは12時と遅めです。
お腹がすくなということで、出店のホットドッグをぱくつきます。
2.動かないぞ
いよいよスタートですが、合図がなってもなかなか列が動き始めま
せん。ハーフの 参加者は2000人ということでした。
ゆっくりジョギングの速さでやっと列が動き出しました。
ところが500メートルほどのところで、また列が全く止まってしまい
ました。
どうしたことかと思っていると、そこから先は急に狭くなった歩道を
走るのでした。
今回のコースは、公道の車道は全く走りません。
公園の中の散歩道や、歩道橋の上、波止場、川縁の遊歩道、公
園の周回道路な どをいくどとなく曲がりながら走ります。
ですから変化には富んでいて、はじめのうちはとても面白いもの
でした。
そのかわり道は狭いので、スタートしてからの数キロはまともには
走れませんでし た。
5キロで30分半ぐらいかかっています。今日のコースでは仕方ない
な、と焦ることは 止めます。
3.参加者たち
仮装の人はほとんどいませんでしたが、すれ違った集団にゲゲゲ
の鬼太郎一団が いました。
鬼太郎はもちろん、目玉おやじ、ねずみ男などもいます。
しかし、なんといっても大変そうだったのは、塗り壁、でした。
要するに1枚の大きな壁のお化けですから、新聞紙をいっぱいに
広げたぐらいの 大きさの薄い箱状のものを被っているのです。
ありゃあ、向かい風では前に進まんぞ。
10km地点で59分。あまりスピードは上がっていないなあ。
何回も折り返しますから、私の後ろにどれぐらいいるかもわかりま
す。さすがに今 日は数百人が後ろにいます。
「ランニング・ドクター」のゼッケンを付けた選手も何人か参加して
いました。参加選 手に何かが起こった際には救護にあたるのでし
ょう。
しかし、自分がいっぱいいっぱいで走っていたら、肝心の時には
息が上がってしま って救急処置もできないでしょうから、かなりの
余裕を持って走れる人でないと務ま らないな、と感嘆します。
大きな川に沿っても走るのですが、そこでは水上スキーの大会を
していました。
マイクが大音量で選手をはやし立てて、モーターボートに引かれ
た水上スキーが宙 に舞っています。
こちら岸では延々と続くランナーが黙々と走っています。
小さな川に沿った公園の周回道路では、ピクニックシートを広げて
お弁当を食べて いるたくさんの家族連れが声援してくれます。
桜は満開でひらひらと花びらが舞っています。目を上げれば彼方
には六甲山がか すんでいます。華やかな雰囲気の大会です。
4.ライバルたち
12kmあたりで50歳ぐらいのおじさんAが追いついてきました。足取
りはしっかりして いて、しきりに腕時計を気にしています。私ぐらい
のレベルだと、ハーフの2時間切 りというのが一つの目安です。
ははあ、これは2時間切りを考えているな・・・・。
周りがかなり遅くなってきたので、おじさんAは、縫うようにして追
い越していきま す。これはちょうど良いぺースだな、と、数メートル
後ろにつかせてもらってしばらく 走りました。
15km過ぎの地点で、そのおじさんAの足取りが少し重くなってきま
した。そこで、情 け容赦なく抜いたのでした。さあ、着いてきなさ
い、今度は私がひっぱってあげまし ょう。
小さい子供を2人連れた若奥様の応援の声が、私のすぐ前を走っ
ていた若者Bに かけられました。パパァ、頑ばってぇ、と子ども達
も応援しています。
格好いい若者で、上半身はぴっちりとフィットしたランシャツで、下
はスパッツです。 いかにも早そう。
18km地点で、私は情け容赦なくその若者Bも抜き去ったのでし
た。
5.2時間切りは・・・?
20km地点で1時間55分でした。残り1.1kmを5分というのは、ハーフ
の最後では私の 走力からはまず無理です。1分あまりオーバーに
なるな、と、それでもなんとか頑張 ります。
すると、さっき抜いてきたおじさんAが抜き返してきました。かなり
頑張ってラストス パートをしているな、という感じです。やはり2時
間切りをねらっているのでしょう。 みるみるうちに10mぐらい離され
ました。
続いて若者Bもダッシュしてきて私を抜いていきます。やはり2時
間切りをねらって いるな。
負けてはおれんぞ、と私もラスト・スパートです。道はもう公園内に
戻ってきていま す。ゴールまで残り20mの地点で若者Bを抜き返
しました。おじさんAまでも、もう少 しでしたが身体1つ分の差で抜
けませんでした。
ガンタイムは2時間とんで40秒。う〜む、残念。3人とも2時間切り
はできませんでし た。
しかし、スタートライン通過がスタートの1分30秒後でしたから、ネッ
トタイムとして は、ま、いいか、というところでした。
6.帰りに
駅までの道をある看板を探しながら歩きます。
すると、ありました、「あしや温泉」! 芦屋で唯一の銭湯をあらか
じめネットで探し ておいたのです。
しかし、これはまあなんという「温泉」か。公営の銭湯らしく、金網
で囲まれたなんと か介護センターの敷地内にあるのです。あらか
じめ調べていなかったら、入ってみ ようとは思わないような雰囲気
でした。料金も市内居住者は280円、市外者は380 円です。
中は昔ながらの銭湯という感じでした。10ほどある洗い場の半分
から8割が埋まっ ている程度の込み方で、半分は近所のお年寄
りという感じです。残りの半分は私 のようなマラソン帰りだなと判り
ます。少し熱めのお湯で、極楽、極楽。
ところが銭湯なので石鹸が置いてありません。しまった、持ってこ
ようと思っていて 忘れてしまったぞ。
バスタオルを腰に巻いて財布を持って、受付のおばさんに「石鹸
は置いてないです か?」と聞いてみます。
すると、おばさん曰わく、「石鹸は置いてないよ」。
ありゃ、まずいな、置いてないのぉ・・・。
間髪入れずに、にやっと笑ったおばさん曰わく「でも、30円で売っ
ていま〜す!」。
なんというおばさんや! 人をからかったりして・・・。
ぶじに身体も洗って出ようとしたときに、マラソン帰りらしい若いお
兄さんが、いか にも石鹸がなくて困ったな、という風にしていたの
で、これ、どうぞ使って下さい、と 石鹸をプレゼントしました。
ああ、どうもすみません。いえ、いえ。
帰りの新幹線は一杯で座れませんでした。
風呂上がりのビールも飲んだ後で、疲れたな、ラストスパートが頑
張りすぎだった かな、と思いながら帰宅しました。
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